不動産の賃貸借 有益費の支払い

有益費とは?
家屋などの改良費用をいいます。

例えば、居住用の家屋を賃貸に出しており
賃借人が、家屋の外壁を塗り替える工事をしたとします。
すると、賃借人の費用で家屋の価値が増加したことになります。

そこで、価値が増加した分の費用を、有益費といい原則借主は貸主に
その分のお金を返して!と言えるのです。

しかし、何でもかんでもが有益費になるわけではありません。
例えば築50年の古い家屋に500万円のシャンデリアをつけたからといって
有益とはなりません。古い家にシャンデリアなんていらないですからね。

環境と支出との釣り合いが必要です。
有益費は3つに分けることができます。

①目的物自体を質的によくするための費用
外壁の塗装工事、照明設備費用

②目的物の脇にあってそれを引き立たせるための費用
借家に面している道路のコンクリート塗装工事費用

③目的物を量的に増やすための費用
借家の増築費用

有益費を返してという請求は、賃貸借契約が終了した時に
増加した分の価値が残っていた場合に行うことができます、

ちなみに「借主は契約終了後、目的土地を現状に回復し、一切の費用を返還しない」
という特約があった場合はどうなるでしょうか。

ケースにもよりますが、原状回復をすることが社会一般的にみて
借主の負担が大きく、社会経済的にも不経済である場合は、無効になります。

例えば、10年の約束で、ボーリング場を作るということで土地をかり、5億円をかけて設備を作ったものの、10年後に土地を更地に戻して貸主に返却するのは、更地に戻す費用や5億円かけた施設の経済価値をゼロにすることなので、その特約は無効になる可能性が高いです。

貸主は、契約書の内容を100%鵜呑みせず
借主と土地の使用方法などについてしっかりと話し合って決めるようにしましょう。