遺言で不倫の相手方に対する包括遺贈をすることの問題点

遺言はたとえ公正証書で作成したとしても、
不利な遺言を残された相手方に無効を主張される場合があります。

例えば、遺言で不倫相手に相続財産の一部を残すよう指定した場合があります。
判例では、不倫の相手方への遺贈を公序良俗に反し無効とされたケースと、公序良俗に反しないので有効とされたケースの両方があります。
裁判所の判断としての原則は

不倫関係を継続させるために作成した遺言は公序良俗に反し無効

となるようです。

ただ、無効ではないとした判例(昭和61(オ)946  遺言無効確認等
昭和61年11月20日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所)

では下記のような理由が挙げられています。

  1. 遺言者の夫婦関係は実質破綻(夫婦関係が希薄)していた。
  2. 遺言者と不倫相手の関係は継続していた&家族にとって公然の事実だった。
  3. 遺贈の目的が不倫関係の継続ではなく、遺言者亡きあとの不倫相手の生活保全のため。
  4. 不倫相手に全財産を遺贈するものではなく、法定相続人にも同等の財産を残している。

・・というように個別具体的な事案で結論は変わってくるのでしょうが

遺言を作る場合は、できるだけ揉めないように準備したいものですね。