財産管理委任契約書(後見を始める前に)

高齢の方が一人で生活しておりますと
公共料金、施設利用料、その他生活費の引き出しなどが一人では難しくなってきます。

身内の方がその手伝いをする場合は、わざわざ財産管理委任契約書を作成する必要はありません。

また、このような現金預金の出し入れのみで、少額の財産の管理であれば
社会福祉協議会などでお金の管理や引き出しの業務を行ってくれます。

日常生活支援業務といいまして、1回○円という形で行ってくれますのでそれを利用することができます。

また、訪問介護を受けている場合などは自費になりますが、そのような業務をしてくれる会社もあります。

では、どのような場合に財産管理委任契約書を作成するのが効果的でしょうか?

・委任者と受託者に血縁関係がないが受託者に依頼したい。
まったくの他人や遠い親戚でも付き合い方によっては老後の面倒をみるなどの状況になることはあります。(内縁関係の場合もそうですね。)この場合に本来の親類(将来の相続人)との軋轢を避けるために、契約書を作成しておくことが重要です。

・委任者には他に相続人がおり、委任者の死亡後に生前の財産の使用方法につきなにか言われる可能性がある。
しっかりと金銭管理をしておいたにもかかわらず、お金を勝手に使ったのではないか?だとか委任者を騙したのではないか?など相手が疑心暗鬼になってしまうことがあります。そのようなケースに備えて、しっかり帳簿をつけ、委任者が自分の意志で金銭管理を委任したのであると示すことができます。

・しっかりと帳簿をつけて財産内容等を把握しておきたい。
生活費を年金収入と預金の取り崩しでギリギリまかなっている場合などは、資金計画を立てなければいけません。そのために支出はいくらかなどを計算しておく必要があります。また、生前贈与などを行いたい場合も同様です。

・財産の内容が現金預金以外のもの(有価証券、収益不動産など)があり、それを現金に変えたりするなどある程度高度な資産運用が必要となる。
不動産の管理などは、支出もあり一般の方が片手間ではできません。
一種の経営的判断(また、その判断を行うための帳簿付け)が必要になります。

・受託者(財産管理をする人)が商売をしている、お金に困っているなどで自分のお金を使い込んでしまう可能性がある。(ただ、通帳と印鑑を預けるだけでは危険です。)
よくあることです。ちゃんとした契約書で財産管理を依頼していた証拠を残しておけば最悪の場合には受託者からお金を返してもらえる可能性が高くなります。
単に、口頭でお願いしていた場合は、証拠が残らず不利です。

・将来的に任意後見契約を結ぶ予定の人と信頼関係を築いていくための前段階として財産管理のみ依頼する。
少しづつ財産管理をしながら、月に数度会いながら、どのような生活をしているのか、望んでいる生活スタイルはどのようなものかをコミュニケーションをとっていきます。

このような場合には、しっかりとした契約書を作っておく必要があると思います。

また、契約書の内容(委任内容、期間、更新の有無、費用など)は受任者が誰か(親戚か子どもか他人か、行政書士などの専門家か)によって多少変わってきます。

もちろんご本人の希望によっても異なります。当事務所で契約書を作成させていただきます場合は、両人からお話をお伺いした上で作成して行きます。

また、契約を続けていても、本人が認知症になるなど状態の変化があった時には

法定後見を選択する必要も出てくると考えられます。
そのような、契約後の相談にも継続的に答えて行きます。